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2012/06/01『LUPIN THE THIRD 峰不二子という女』レビュー(2) 少女のトラウマの物語。

LUPIN the Third 峰不二子という女 BD-BOX [Blu-ray]
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不二子の幼少時代のトラウマが段々と明らかになってきた。捕らわれ、陵辱されていたのだ。(後に判明するが、人体実験となっていた)
あまりに深刻な事態に、僕は嘔吐感を覚えた。

あるいは少なからずの女性が、この物語の展開に嘔吐感を覚えたのではないだろうか。
脚本は岡田麿里。『とらドラ!』で名を馳せた脚本家だ。深刻さを書かせたら、アニメ界では定評のある脚本家だ。最近では『あの花』で、事故死した少女を巡るドラマを描いた。アニメ界の野島伸司と呼んでも良いだろう。
 
あまりにも深刻すぎるドラマは、人を傷つける。同じトラウマを持つ人々を、恐怖のどん底に突き落とす恐れだってある。
一見ちゃらんぽらんな峰不二子に、そこまで強烈な過去を背負わせる必要が、果たして本当にあるのか? 僕は物語には、深刻さが必要であるとこのサイトで常々言ってきた。
 
しかし、度を超した深刻さは、観る者を恐怖のどん底へと突き落とすのではないか?
エンディングで、恐らく10代前半の不二子は、うつろな目で我々を見る。その目は絶望に絶望しきっており、倦怠に疲れ切っている。僕はそもそもが不吉な匂いをそこに嗅ぎつけていたが、その勘が正しかったことが、段々と証明されつつある。
 
男に体を任せることに、何のためらいもない。ある種のトラウマを抱えた女性が、たとえば銭形警部に司法取引で体を委ねることなど、何の造作もないことだ。
 
この体は、私の体ではないからだ。
どぎついリアリティを見せつけるこのルパンシリーズ、さてさて……どのような着地点をみせるのだろうか。ルパンがその不二子の痛みを引き受けるというのなら、僕は、ルパンの優しさを知る男となるだろう。